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「らくがき」を読んで

先日、「らくがき」を2週間かけて読んでくれた親友のことという記事を書きました。

今回は、物書きユニット「ウネリウネラ」公式サイトで教育について寄稿してくださっている有馬佑介さんから届いたお手紙をご紹介します。


「らくがき」を読んで

有馬佑介

 ウネリウネラの「らくがき」を読んで初めに感じたことは、うらやましいという気持ちだった。なぜなら僕にはこの本が、父と母による家族のスケッチに思えたからだ。特別でない「ただの日々」を、丁寧に綴ることで、二度と戻らない日々を本の中に残すことができる。それがうらやましいと思ったのだ。

 この本は、ウネリウネラがこどもたちに書いた本なのではないか。途中で挟まれる3人の後ろ姿の写真を見て、確信にも似た気持ちになる。

 読んでいる最中は、むずがゆかった。何しろ牧内と思春期をともにしたわけで、純粋な一読者になれるはずもない。読みながら牧内と、年賀状で知る家族の顔が思い浮かび、あんまりに近い距離でエッセイを読むことは、文章と適切な距離をとり難く、むずがゆかった。普段見られない友人の内面に赤裸々に向かい合うようで、恥ずかしかった。でも、途中で、「そういえばあいつは、昔、にやにやしながら「俺はロマンチストなんだよ」なんてことを言っていたな」と思い出して、「そうか、そうだった」とひとり納得してから、ようやく文章に入りこめるようになった。それにしたって、「湯気の立つコーヒー」なんてロマンチックがすぎる。最後の一行はやりすぎだ。

 手が届く範囲のことを、手触りを省くことなく描いていく。それはやはり、色を少しずつのせていくスケッチに似ているように思った。写真やビデオでは記録できないものが、この本にはえがかれている。

 特に好きなのは「寒風沢点描」と「レースのカーテン」だ。

前者は、描写が特に丁寧で、ぽつぽつとしたひとつひとつの言葉により家族の風景が情景として浮かび上がる。まさに点描だ。こんなふうに自分も書けたらと思わずにはいられない。ウネリの思った「大事なこと」、きちんと書いてほしいとも思う。

後者の「レースのカーテン」は、一転して掴みづらい。でも、掴みづらいものを、それでも書こうとするこの一編が好きだ。「「口紅」の句を舌で転がしたときの、静かな甘さがすばらしい。」この一文が、特に好きだ。静かな甘さって言葉のなんて優しいことか。

2編の詩も好きだ。誰にも見せられないけれど、自分の2人の大切な息子と、そして妻に向けて、詩を書きたいと、そう思った。

手の届く範囲を、手で触りながら、大切にしたい。それから、大切にしたいものに、大切にされたい。うまく言えないけれど、そんな思いになった一冊だった。


有馬さん、ありがとうございました。

ウネリウネラ


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